【エンジニア研修】OJT研修で助成金が増える!代表的な2種類のメリデメを解説
新卒エンジニアに外部研修を受講させた後、社内でOJT研修を行っている企業は年々増加しています。厚生労働省の「能力開発基本調査(令和4年度)」によると、情報通信業で計画的なOJTを実施した事業所の割合は、複合サービス事業の93.0%、電気・ガス・熱供給・水道業の90.7%に次いで「78.1%」と高い結果となっています。
開発エンジニアの場合はプロジェクトごとに開発環境や開発ルールが異なるので、実際の業務を通して先輩社員が手厚くサポートするケースも多いと思います。
実際に弊社も新卒エンジニアには2年目の先輩エンジニアをメンターに付け、新入社員研修後の7~9月に掛けてOJTを行っています。ITCOLLEGEのお客様には新入社員研修に加えて3ヶ月以上のOJTを行っている企業も多く、中には最長で12月までOJTを続けるお客様もいらっしゃいます。
ただ、OJT期間中は指導を担当する先輩エンジニアのリソースが削られてしまうだけでなく、新人エンジニアが戦力になるまでは人件費の負担が大きいのも事実です。
そこで本記事では人材開発支援助成金のうち、OJTに取り組む企業の研修コストを削減できる助成金コースをご紹介します。助成金ごとに、対象となるOJTの条件も解説。すでにOJTを行っているお客様や、これからOJTの実施を検討しているお客様は、ぜひ最後までご覧ください。
人材開発支援助成金については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
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「OJT実施助成」が支給される助成金は2種類!違いを分かりやすく解説
ここではIT企業がOJTを実施した際に活用できる、代表的な助成金コースを2種類ご紹介します。
助成金では通常、研修料金に対して一部を支給する「経費助成」と研修中の人件費の一部を支給する「賃金助成」がありますが、以下の2コースではOJTを実施すると「OJT実施助成」として一定額が支給されるようになっています。
いずれのコースも必ず外部研修などOFF-JTと組み合わせる必要がありますが、上手に活用すればOJTに掛かったコストを削減できますよ。
【契約社員専用】人材育成支援コース 有期実習型訓練
こちらのコースは正社員経験が少ない契約社員に対して、正社員への転換を目的にした研修(10時間以上のOFF-JT+OJT)を実施した場合に活用できます。必要な研修期間が2ヶ月(合計425時間以上)と比較的短いため、短期間で新人を育成したい企業にとっても使いやすいものになっています。
研修料金に対して | 研修時間に対して | OJT実施に対して | |
中小企業の場合 | 60%を支給 | 760円/時間 を支給 | 10万円/名 を支給 |
大企業の場合 | 60%を支給 | 380円/時間 を支給 | 9万円/名 を支給 |
【正社員・契約社員兼用】人への投資促進コース 情報技術分野認定実習併用職業訓練
情報通信業の企業、またはIT関連組織やDXを推進する組織を有する企業がOFF-JTとOJT合わせて6ヶ月以上(合計850時間以上)の研修を行う場合は、「人への投資促進コース 情報技術分野認定実習併用職業訓練」をご利用いただけます。OFF-JTで3ヶ月間・OJTで3ヶ月間など、新卒・若手エンジニアを時間をかけてじっくり育てるタイプのお客様におすすめです。
研修料金に対して | 研修時間に対して | OJT実施に対して | |
中小企業の場合 | 60%を支給 | 760円/時間 を支給 | 20万円/名 を支給 |
大企業の場合 | 45%を支給 | 380円/時間 を支給 | 11万円/名 を支給 |
人への投資促進コース 情報技術分野認定実習併用職業訓練では、OJTで指導を担当するエンジニアの条件が決められています。IT企業の場合は2年目の先輩エンジニアがOJTを担当することもできますが、ユーザー企業(情報通信業以外の事業者)の場合はITSSレベル2以上のIT資格を持つか、実務経験が5年以上の社員に限られていますので注意が必要です。
・役員など訓練実施事業所の事業により報酬を受けている方、または当該事業所の従業員
・ユーザー企業(情報通信業以外の事業主)の場合は、次の要件を満たす方
1.ITSSレベル2以上の資格を有する方
2.実務経験が5年以上の方
2コースの支給条件・助成率を比較
支給条件
助成金ごとに対象社員・研修期間・OJTの割合が異なりますので、自社の採用・育成プランに合わせてマッチするコースを選択してくださいね。
人材育成支援コース 有期実習型訓練 | 人への投資促進コース 情報技術分野認定実習併用職業訓練 | |
対象社員 | 契約社員(有期契約労働者等)のみ | 正社員・契約社員どちらでも ※15歳以上・45歳未満のIT未経験者 |
研修方法 | OFF-JT+OJT | OFF-JT+OJT |
必要なOFF-JT訓練時間 | 2ヶ月以上(合計425時間以上) | 6ヶ月以上・2年以下(合計850時間以上) |
必要なOJTの割合 | 1割以上・9割以下 | 2割以上・8割以下 |
上限回数 | 受講者あたり年1回 | 受講者あたり年1回 |
年間支給限度額 | 事業所当たり1,000万円 | 事業所当たり1,000万円 |
大臣認定 | 不要 | 研修開始30日前までに 大臣認定の書類を提出する必要がある |
メリット・デメリット
有期実習型訓練は契約社員(有期契約労働者等)が対象なので、正社員にOJTを含む研修を実施する場合にはご利用いただけません。
また、情報技術分野認定実習併用職業訓練では研修開始の30日前に厚生労働省の大臣認定を受ける必要がありますので、有期実習型訓練と比べて早めに申請する必要があります。
契約社員の研修であれば、有期実習型訓練を選んでいただいた方が使い勝手は良いのではないでしょうか。
人材育成支援コース 有期実習型訓練 | 人への投資促進コース 情報技術分野認定実習併用職業訓練 | |
メリット | ・必要な研修期間が短い(2ヶ月以上) ・大臣認定を受ける必要がない | ・OJT実施助成が高い(最大20万円/名) |
デメリット | ・契約社員にしか使えない ・研修前のキャリアコンサルティングが必須 | ・必要な研修期間が長い(6ヶ月以上) ・大臣認定を受ける必要がある ・ユーザー企業ではOJT指導者の要件が決められている |
OJTが支給対象になる助成金を申請する際の注意点
これらの助成金を申請する際に注意していただきたいのが、研修前の計画申請の時点でOJT研修のカリキュラムを決めて、そのカリキュラムに沿って実施しなければいけないという点です。
支給申請の際にも「OJT実施状況報告書」や「OJTに係る訓練日誌(受講者作成)」、「OJT訓練指導者の出勤簿、タイムカード」等を提出する必要があります。
計画申請時点でOJT研修の研修カリキュラムを確定できない場合は、OFF-JTに絞って「人材育成支援コース 人材育成訓練」などのOFF-JTを対象とする助成金で申請した方が準備の手間は省けます。
まとめ
ここまで、OJT実施助成が支給される助成金コースを2種類ご紹介してきました。
有期実習型訓練ではOJT実施助成で最大10万円、情報技術分野認定実習併用職業訓練では最大20万円が支給されますので、せっかくなら活用したいというお客様もいらっしゃるかと思います。
ただ、前述の通り計画申請の時点で研修カリキュラムを決めておく必要があったり、支給申請でも提出書類が多かったりと、OFF-JTを対象とする助成金と比べると手間がかかるのも事実です。
ITCOLLEGEでは少ない手間で助成金を活用できるよう、助成金の専門知識を持つスタッフが助成金選びから無料でサポートしております。
これまで毎年400社以上のIT企業の助成金申請をサポートしてきたノウハウがあるため、お客様のご状況に合わせたスピーディーなフォローと正確な情報提供を両立できます。お客様の研修プランや研修目的に合わせた助成金のシミュレーションもお送りしておりますので、エンジニア研修でお悩みのお客様はぜひお気軽にご相談ください。