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  3. これだけで新人の性格・能力が分かる!適性診断で「伸びる」エンジニアを見分けるコツ

エンジニアの選考フローで、今多くのIT企業が採用している「適性検査」や「コーディングテスト」。適性検査ではSPIなどの代表的なものをはじめ、AIが社風を分析しておすすめの候補者を選抜してくれるものや、コーディングテストでは応募者のGitHubを解析するものまで出てきています。

適性検査をうまく取り入れて、より優秀な人材を獲得したいと考える採用担当者の方は多いと思います。

DeNA社やLINEヤフー社など人気の高い企業では独自のコーディングテストを行うケースも増えていますが、新卒エンジニアや未経験エンジニアのポテンシャルを見て採用を行っている企業では、コーディングテストがうまくマッチしない可能性もあります。反面、性格と本人のやる気を見て採用を決めたのに、入社後に伸び悩んでしまった…という経験もあるのではないでしょうか。

適性検査のよくあるお悩み

・種類が多すぎて、どの検査を導入すればいいか分からない
・志望度が低い段階でスキルチェックを挟むと、応募者が離脱してしまう可能性がある
・スキルだけを見てジャッジすると、ポテンシャルのある応募者を逃すリスクがある
・入社時は比較的スキルが高かったのに、実務に入ったら伸び悩んでしまった
・性格は社風に合うが、未経験者を採用して実務についていけるのか不安がある

本記事では、新卒エンジニアや未経験エンジニアの採用に使えるおすすめの適性検査と、伸びしろのあるエンジニアを見分けるポイントを分かりやすく解説いたします。

IT企業のエンジニア職採用でよく使われる「WebCAB」

就活の適性検査といえば「SPI」のイメージが強いですが、ITエンジニアの採用で絶大な人気を誇るのが日本エス・エイチ・エル社(以下「日本SHL社」)が提供する「WebCAB」です。多くの一般企業で導入されているSPIと違い、WebCABはIT系の職種への適性を測ることに特化しています。

各職種で活躍する人材の特徴の分析結果に基づいて、プログラマーやシステムエンジニアの適性は知的能力とパーソナリティ、カスタマーエンジニアとプロジェクトマネージャーの適性はパーソナリティから予測されます。

オンラインで受験でき、受験後すぐに結果が見れるので、応募者側も企業側もそこまで負担なく実施できます。導入コストも年間3万円・受験1件あたり3千円(各税別)と、低コストな点もポイントが高いですね。

WebCABで適性が分かるIT系職種

適性が分かる職種業務内容の区分け
プログラマー適性(PG)・プログラムの設計
・プログラミング(実装)
システムエンジニア適性(SE)・ユーザーの業務分析とシステムの設計
・プログラマーへの発注と納期管理、
・スケジューリング
カスタマーエンジニア適性(CE)・システム導入の設置計画立案
・システム運用
・メンテナンス
・トラブル対応
プロジェクトマネージャー適性(PM)・プロジェクトの人員確保と統括
・進捗管理
・品質管理

エンジニア採用でWebCABを使うメリット

1.プログラミングの経験がなくても解ける問題なので汎用性が高い

WebCABの最大の特徴は、「プログラミングの経験がなくても解ける問題しか出題されない」ということ。プログラミングの課題を解かなくても論理的思考能力を測れるので、未経験者から経験者まで幅広い層を採用している企業にはぴったりです。

デメリットとしては、SPIと同様に事前に対策すれば一定レベルは解ける点でしょうか。ただ性格検査も含めると200問以上がランダムに出題され、セクションごとに制限時間があるため、スピーディーな情報処理能力が求められます。暗記では乗り切れないので、応募者が対策をしてきた場合も精度が高いデータが取れると考えられます。

WebCABの問題構成

出題内容出題数制限時間チェック項目
四則演算50問9分計算問題のおおよその答えを迅速に、正確に推測できるか
法則性30問12分図形の法則性を迅速に、正確に発見できるか
暗号36問15分表面上の事象や現象から、構造や関係を推理できるか
命令表30問16分与えられた命令を記憶する速さと正確さ、それを駆使する能力があるか
性格検査68問30分どんなパーソナリティか?また、質問への回答に一貫性はあるか

2.面接では分かりにくい、職務に欠かせない9つの能力が分かる

WebCABの能力特性は、職務を遂行する上で必要な「問題解決力」や「状況適応能力」、「プレッシャーへの耐力」など9つの項目をグラフでチェックできます。また応募者の強み・弱みも自動でまとめてくれるので、細かく読み込まなくても応募者がどんなタイプか分かるのもメリットですね。

これらの能力は面接のガクチカエピソードで判断する企業も多いですが、結構似たエピソードを持つ応募者が多かったり、コロナ禍には「ガクチカがない」という就活生の傾向も話題になりました。

スコアシートでは、面接で応募者の弱みをチェックするのに有効な質問例も挙げてくれます。たとえば、ヴァイタリティが弱い応募者の場合は「今までで”最も困難な目標に挑んだ”といえる経験を教えてください」といった質問、創造的思考力が弱い場合は「過去のやり方を新しく変えた経験があれば教えてください」といったものです。

応募者のトーク力や面接官の掘り下げ方に左右されず、能力が数値化できるのは便利なポイントです。

チェック項目定義
ヴァイタリティ・体力、気力に優れている
・強い競争心を持つ
・成功させるためには、危険を冒すことも辞さない
・結果を出すために俊敏に動く
人あたり・人に対してよい印象を与え、過度の防衛心を起こさせない
・思いやりと節度を持った態度がとれる
・他人の意見を尊重できる
チームワーク・チームにうまく溶け込む
・人と摩擦を起こさずに物事を処理できる
・他人との接触やコミュニケーションに自信を持っている
創造的思考力・新しいコンセプトを作り出す能力がある
・柔軟に発想する
・新しい、独自な工夫で問題を解決できる
・定型的な思考方法をとらない
問題解決力・筋の通ったものの見方ができる
・合理的に推論できる
・問題を解くこと、難しい問題に立ち向かうこと自体を好む
・分析的なアプローチを採用する
状況適応力・状況に合わせて行動する
・自分の行動を客観的に眺められる
・多様な仕事への適応力を持ち、外国での仕事などもうまくやり遂げる
プレッシャーへの耐力・プレッシャーを上手に扱うことができる
・感情に支配されない
・プレッシャーがかかっても平静さを保っている
オーガナイズ能力・計画を立てたり、人を配置したりすることがうまい
・問題を予見し、対案を用意することができる
・細部のツメに甘さを残さない
統率力・メンバーの動きに注意を払い、自分からコミットし、メンバーにやる気を起こさせることができる
・メンバーから人間として尊敬される

3.WebCABスコアで、入社後も伸びる人材かジャッジできる

実は、日本SHL社の研究によってWebCABのスコアとIT研修での習熟度には、相関関係があることが分かっています。

特に法則性や暗号といった、単純な計算処理以外のセクションでWebCABのスコアが低い応募者はIT研修の習熟度も低く、スコアが高い応募者は習熟度が良いという結果が出ています。

採用選考ではプログラミング経験がある応募者を優遇するケースも多いと思いますが、プログラミング未経験でもWebCABのスコアが高い方は呑み込みが速く、すぐに経験者に追いつけることが多いです。

選考~入社時点ではプログラミングスキルが相対的に高かったのに研修や実務で評価が伸び悩むパターンの方は、プログラマー適性が低いことが考えられます。

WebCABはプログラミング経験の有無では測れない、応募者のポテンシャルを見たい場合にはぴったりの適性検査です。理系・情報系出身者に絞って採用する場合も、母集団の中で相対的にポテンシャルの高い応募者を選抜できるので取り入れるメリットがありますね。

4.性格診断も「回答の一貫性」が自動で分かる

これは他の適性検査にも共通のメリットかもしれませんが、応募者の性格が把握できるのに加えて「回答の仕方が一貫しており、信頼できるか」を自動で判定してくれます。面接だけで相手の性格や、信ぴょう性を見抜くのはなかなか難しいですよね。面接前に適性検査を行えば過去の膨大なWebCAB受験者のデータをもとに数値化できるので、面接官によって評価のブレも出にくくなります。

チェック項目パーソナリティ因子
自己主張説得力・指導力・独自性
人付き合い外向性・友好性・社会性
他人への配慮謙虚さ・協議性・面倒み
関心領域具体的事物・データ・美的価値・人間
思考様式オーソドックス・変化志向・概念性・創造的
物事の進め方計画性・緻密・几帳面
不安感情余裕・心配性
物事のとらえ方他風・抑制・楽観的・批判的
エネルギー行動力・競争性・上昇志向・決断力

WebCABを受けてもらう際の注意点

WebCABを使えば、応募者の素質や能力を定量的にジャッジできます。しかし、実際の業務で使うスキルを具体的に測ることはできません。

応募者のプログラミングスキルそのものを測りたい場合は、やはりコーディングテストを取り入れる必要があります。

また、適性検査を用いる際には適性・能力に対してボーダーラインを決めておくことが重要です。優秀な人材は大手企業に取られてしまうリスクも高いので、ボーダーを高く設定しすぎると母集団が集まらない可能性もあります。ボーダーラインの下限を設定しておき、面接を通してより自社にフィットする応募者に絞っていくのが良いでしょう。

弊社でも新卒エンジニアや未経験エンジニアの採用選考ではWebCABを導入しており、過去の傾向からプログラマー適性が一定以上の応募者に絞って面接を行っています。

実際のWebCABスコアシートはここを見る!「伸びる」エンジニアを見分けるコツ

日本エス・エイチ・エル社の発行するWebCABスコアシート

ここからは実際にWebCABのスコアシートをもとに、「伸びるエンジニア」を見分けるポイントをお伝えします。

スコアシートではこれだけ多くのデータが見れますが、今回は特にチェックしていただきたい項目を3つだけご紹介します。

応募者の「プログラマー適性」がボーダーライン以上かどうか

1番重要なのは、左上の「コンピュータ関係職適性」の項目です。ここで応募者のプログラマー適性が分かります。

入社後のキャリアパスとしてプログラマーからSE、PMと順に上がっていく場合は、まずはプログラマー適性が自社のボーダーライン以上であるかチェックすることをおすすめします。プログラミング未経験者でも、プログラマー適性が一定以上のスコアであれば、研修で十分に成長できる見込みがあります。

プログラマー適性とシステムエンジニア適性は知的能力とパーソナリティから予測されるため、この2つが大きく乖離することは基本的にありません。

プロジェクトマネージャー適性はパーソナリティで予測されるので、プログラマー適性が高くてもPM適性が低いパターンもありえます。PG・SE職の採用として適材適所と捉えるか、PM候補になれる他の応募者に絞るかは選考時点での判断が必要ですね。SIer企業のように、プロパーは実装を行わず設計やベンダー調整が中心の場合は、プログラマー適性ではなくSE適性・PM適性を重視する場合もあるかと思います。

企業によって求めるレベル感やキャリアパスは異なるので、自社に合った基準を設定するのが良いでしょう。

プログラマー適性評価回答者の割合
1著しく低い全体の2%
2~3低い全体の14%
4~5平均または少々低い全体の34%
6~7平均以上全体の34%
8~9高い全体の14%
10非常に高い全体の2%

能力特性から見る「強み・弱み」

この項目では9つの能力特性のうち、強みと弱みを確認できます。たとえば「物事を進める上で計画を立てるのがうまく、プロジェクトを最後まできちんと仕上げようとする。反面、柔軟に発想する能力が弱く、体力・気力・競争心が低い」といった応募者の傾向が分かります。

この例でいえば、ウォーターフォール型の開発には向いている側面があるかもしれませんが、自社サービスの新規開発や新しい手法を取り入れるプロジェクトでは能力を発揮できない可能性もあります。プログラマー適性が高い場合も、自社の業務内容に合うタイプかどうかは見極めが必要ですね。

性格検査の回答の「一貫性」

WebCABの性格検査では、類似の質問を繰り返し出題することで、回答の信頼度を計測しています。応募者が自分を良く見せようと、本来の自分とは異なる軸で回答している場合には、この一貫性は低く判定されます。回答の仕方が一貫しているか、信頼性のある応募者かどうか、必ず確認しましょう。

適性診断と「クラス分け」を組み合わせれば、IT研修の習熟度をさらに改善できます

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

日本SHL社の研究の通り、WebCABスコアとIT研修の習熟度には相関関係があることが分かっています。

スタートラインが異なる社員に画一的な集合研修を行ってしまうと、レベルが高い社員は実践的な学びが得られなかったり、未経験者の挫折に繋がってしまうことも。特に未経験者には「同期はできているのに、自分だけがついていけない」と不安を抱え込んでしまう方も少なくありません。

採用時点でプログラマー適性が高く経験もある応募者だけを獲得できれば、一斉に同じ研修を行っても一定の効果が出ると思いますが、新卒エンジニアの採用が激化している昨今、ターゲットを優秀層に絞った採用はなかなか難しくなっています。

ITCOLLEGEでは最も受講数の多いJava研修を対象に、適性診断のスコアとプログラミング経験に合わせた研修のクラス分けを行っております。レベルが近い受講者と同じクラスで学べるので、初心者でも挫折しにくく、経験者もステップアップできる環境をつくることで、2023年度新入社員研修では全体で99.9%(前年比+0.5%)と高い完走率を達成することができました。

ITCOLLEGEではJava研修をご検討中のお客様は、お申し込みの前に適性診断を無料でご受験いただけます。

適性診断の結果に合わせて最適な研修プランをご提案させていただきますので、「初心者と経験者が混在しており、研修のレベル設定が難しい」というお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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