未経験エンジニアを戦力化!短期研修でも効果が出る、独自の学習サイクルをご紹介
エンジニア不足が進み、人材確保のためにロースキル層へ採用ターゲットを広げる企業が増えています。特に中途エンジニアの採用市場では大手Web系企業やSIerもハイレベル採用から選考基準を引き下げ、JavaやC#などのWeb・オープン系言語で2年程度の経験があればひとまず書類選考を通過させている状況です。
大手・有名企業への母集団の偏りは年々顕著になりつつあり、その煽りを受けて採用に苦戦している中小企業のお客様も多いのではないでしょうか。弊社でも理系・情報系出身者に絞った新卒採用を行っておりますが、優秀層には内定を出しても大手企業に競り負けてしまうケースも多いです。
そこで今回は、人材確保のためにプログラミング未経験者・初心者の採用に踏み出すお客様に向けて、プログラミング経験の浅い新人エンジニアのITスキルを短期間で底上げする、弊社独自の学習サイクルをご紹介いたします。
ITCOLLEGEの年間受講数1,200名うち9割以上はプログラミング経験者ですが、新入社員研修の完走率は99.9%、中途社員向けの未経験エンジニア研修では100%を達成しております。未経験者・初心者の育成にお悩みでしたらぜひ最後までご覧ください。
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序盤~中盤:「講義→演習→実演→テスト」のサイクルを毎日繰り返す
ITCOLLEGEの研修では、毎日「講義→演習→実演→テスト」のサイクルを繰り返しながらカリキュラムを進めます。この学習サイクルのメリットは、1日ごとに学習範囲を区切り、午前と午後で学習方法を変えることで受講者が中だるみせず、技術をひとつずつ理解しながらステップ形式で進める点です。
講義のように「見る&聞く」というインプットによる記憶の定着率は50%程度と言われていますが、「話す&行う」といったアウトプットによる記憶の定着率は90%まで高まるという研究データがあります。講義を聞いただけでは「ある程度の意味が分かる」というレベルで止まってしまいますが、すぐに手を動かしながら実際にコードを書くトレーニングを繰り返すことで徐々にロジックを理解し、自力で実装できるようなります。
受講者にとっても、ただ講義を聞くだけの研修では退屈です。午前中は講義、昼休憩を挟んで午後に演習課題とメリハリをつけることで集中も持続し、安定して研修に臨むことができます。
また人間の脳は、一度覚えた内容も1時間後に56%を忘れ、翌日には74%を忘れてしまうとも言われています。翌日には前日までの学習範囲に沿った確認テストを行い、理解度に合わせた振り返り・復習を行うことで、知識を取りこぼさずに進めるよう工夫しています。
9時~10時 | 理解度テスト | ・前日の学習範囲について理解度テストを行う ・テストの正答率を確認する ・不明点を再度解説する |
10時~12時 | 講義 | ・1日の学習範囲について、全体像を説明する ・テキストに沿って講義・解説を行い、知識をインプットする ・実演を交えて解説する |
12時~13時 | 昼休憩 | ・各自休憩 ・質疑応答 |
13時~17時 | 演習課題での実習 | ・演習課題を解いてハンズオンで定着させる ・1日の学習範囲について、要点を押さえて再度解説する |
17時~18時 | 日報提出 | ・日報の作成・提出 ・日報が完了した受講者から復習・質疑応答 |
1.講義・解説で知識をインプットする
講義において最も重要なことは、「話す内容を構造化して順序立てて伝える」ということです。多くの受講者は、これから学ぶ内容についてのイメージがついていません。全体像やゴールが見えていないと「なんとなく講義が先に進んでいる」状態になってしまい、重要な知識を取りこぼしてしまうことがあります。
はじめに学習範囲の全体像やボリューム感、学習の目的など結論を伝えておくことで、受講者も目的意識を持って講義を聞くことができます。
講義では技術書と、それを補足するオンラインテキストを用意します。技術書は体系的な知識や情報のインプットには向いていますが、初心者は技術書の内容を完全に理解しようとしてしまう傾向があります。そのためITCOLLEGEでは書籍の要点をピックアップしたスライドを用意し、講義では重要なポイントに絞って解説します。
Java研修 | 『スッキリわかるJava入門』 |
C#研修 | 『新・標準プログラマーズライブラリ なるほどなっとく C#入門』 『C#フレームワーク ASP.NET Core3入門』 |
PHP研修 | 『初めてのPHP』 |
Python研修 | 『入門 Python3』 |
講義中はZoom上でオンラインテキストを画面共有して解説を進めますが、覚えてほしいキーワード・語句は電子ホワイトボードも併用して板書しています。
テキストに下線を引くなどの強調も重要ですが、板書と口頭で繰り返しキーワードを出すことで受講者の頭にも残りやすくなります。特にイメージ図や流れを説明する際にはその場で図を描きながら解説するなど、受講者がイメージしやすいよう工夫しています。
2.講師の実演と解説を聞いて理解する
講師の実演は、実際に正しく動くコードの成功例を知るための時間です。
テキストの例題に沿って回答例となるコードを書き、なぜそのコードになるのか、出力結果と合わせて解説します。
実演と言うと高度なテクニックを披露するように聞こえますが、テキストから外れたことをすると受講者が混乱してしまうため、テキストに書いてあることをそのまま実演します。
実演のメリットは、リアルタイムにコードを記述できる点です。コードがすべて記述された状態だと内容を読み解くのに集中してしまうことがありますが、実際に口頭で解説しながらコードを1行ずつ書き加えていくことで、受講者も「なぜそのコードになるのか」すんなりと腹落ちできます。
3.演習課題を通してハンズオンで定着させる
知識を定着させるためには、手を動かすことがとても重要です。
実演の後は、テキストの例題と回答例を見ながら演習課題を自力で解きながら知識の定着を図っていきます。複数の課題を解いていくうちにパターンを覚え、回答例を見なくてもコードを書けるようになっていきます。
演習課題を解く際のポイントは、必ず目標時間を区切り、達成条件を決めることです。
時間内に回答できた受講者が5割程度の場合は再度実演を行いながら解説を付け加える、9割以上の場合は残り1割に復習を促すなど、回答率に応じてアプローチを変えることで効率よく進行できます。速く解き終わった方にはチャレンジ課題を出し、退屈させないサポートを行いましょう。
受講者の回答をピックアップして全体の前でコードレビューを行し、より短いコードの書き方、現場に即した書き方を紹介するのも有効です。
初心者のうちは基本形として省略せずに書き、ロジックを理解するところからスタートしますが、実際は省略可能なケースもあります。
基本的なロジックを理解していない状態で省略系のコードを書くのは難しいですが、可読性・メンテナンス性を高めるために短縮することの重要性とその記述方法を知っておくと、後々の学習でもメリットがあります。
演習課題が終わったら、当日のまとめとして講義の要点を振り返ります。ここで一度振り返りをしておくことで、午前中の講義の聞き漏らしや認識の齟齬を防ぎ、記憶にも残りやすくなります。
4.翌日の朝に前日分の理解度テストを行う
先にご説明したように、人間の脳は、一度覚えた内容も1時間後に56%を忘れ、翌日には74%を忘れてしまうとも言われています。時間を空けてからテストを行っても手遅れになってしまいますし、その間に進めた講義が無駄になりかねません。
事実、小テストの難易度は前日の講義内容がある程度理解できていれば5~8割は正解できるレベルに設定していますが、多くの受講者の正答率は5~6割程度となっています。理解度テストは毎朝実施し、回答率に応じて再度講義を行ったり、課題を出して復習を促すことで知識の取りこぼしを防ぐことが重要です。
他にも週次テストや、オブジェクト指向、データベース・SQLなど単元ごとのテストも取り入れ、早期に疑問を解消するサイクルをつくっています。
研修終盤:学んだ知識をフルに活かして、チームで成果物を開発する
ここまで講義・実演・演習・テストを繰り返してWebプログラミングを一通り学んだら、研修の集大成として受講者のレベルに合わせたチーム開発を行います。
チーム開発を行う際には、「メンバーに甘えず、自分のタスクを完遂する責任感」を養うために、必ず理解度が近い受講者同士でチームを編成することも重要です。ITCOLLEGEでは講義の理解度や理解度テストの平均点などをもとにチームを編成し、各チームのレベルに応じて指導の厳しさを調整しています。
チーム開発演習では要件定義・WBS作成など上流工程から実装・テストまで受講者主導で進め、実在のWebシステムに近い成果物を開発します。開発全体のボリュームに対して適切なコード品質が保たれているか、ドキュメント作成時の考慮漏れがないかなど、実際の開発プロジェクトと同様に細かくレビューを挟みながら指導することで、さらなるスキルアップを図れます。
チーム開発では複数人で開発を進めていくことで、マージの際のコンフリクトや考慮漏れによる実装の手戻りなど、想定外の問題が発生することもあります。
チーム開発のメリットは、これらのトラブルを解決する中で、他のメンバーも手を入れやすいようコードの可読性・汎用性を意識するようになったり、メンバー同士で声かけをしながら機能を実装したり、チーム全体を見て行動するよう心掛けたりと、さまざまな気付きが得られる点です。
また実際にチームで開発を進める中でオブジェクト指向やフレームワークなど、これまでに学んできた技術のメリットも実感できます。座学で学んだ知識をフルに活かして成果物を完成させるという成功体験を得ることで受講者のモチベーションや学習意欲も高まりますので、初心者を短期間でスキルアップさせるためには必ず取り入れていただきたいトレーニングです。
まとめ
ここまで、ITCOLLEGEの学習サイクルをご紹介してきました。
短期間で初心者をレベルアップさせたいからと座学で詰め込んでも、インプットばかりでは知識が定着せず、使いこなせるレベルになりません。
研修期間が短くても、必ず「講義を聞いて理解する→実演を見て・解説を聞いて仕組みを理解する→実際に手を動かしてハンズオンで定着させる」というサイクルを毎日繰り返しながら徐々に進め、知識の取りこぼしを防ぎましょう。受講者も徐々にコードが書けるようになることで自信がつき、モチベーションも維持できるようになります。
もし「今よりもっと社員が成長できる研修にしたい」「良いトレーニング方法があれば参考にしたい」というお悩みがありましたら、ぜひITCOLLEGEにご相談ください。
外部研修は実際に受講してみるまで学習方法や指導の質がブラックボックスになっていることが多いですが、ITCOLLEGEでは未経験エンジニア向けの研修を毎月開講しておりますので、ご希望のタイミングでいつでも研修会場での対面指導や、オンライン講義の様子をご確認いただけます。
お客様の育成方針、研修課題に合わせて最適な研修プランをご提案させていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。